レンズの性能確認:レイファンプロット
レンズ設計で最も有用な診断ツールは、この「レイファンプロット」らしいです。日本語にすると「横収差図」というものに相当します。
ZEMAXのコマンドは、
Analysis => Fans => Ray Abberation もしくは、
「Ray」ボタン、から。
Ray Fan (レイファンプロット:横収差図)
ちなみに、私はこの図で壁にぶつかりました。「え??ナニコレ?全く意味不明なんですけど…」状態です。
ちなみに、テキストによると
と、解説されていますが、これを読んでも、「うーん、よくわからん…」。
困ったときのGoogle先生!ということで、「横収差図」でWEB検索してみると、いろいろ教えてくれるサイトが見つかりました。
株式会社ジェネシアの技術資料
中でもイチオシなのがこのサイト。ものすごーく!分かりやすいです。お陰様でなんとか理解することが出来ました。ありがとうございます。
まずは、この横収差図を理解してからでないと、先に進んでも意味がなさそうです。上記サイトでしっかり勉強して理解できたものとして、今はとりあえず、レッスン1を進めることにしましょう。
各内容の詳細の復習はあとでまとめたいと思います。
さて、上の横収差図から読み取れるのが「デフォーカスしている」ということ。今は適当にサーフェスデータを入力しただけなので、それもそのはずです。
ここで、デフォーカスの修正のために、凸レンズ後の空間距離に「Solve:Marginal Ray Height」を適用します。
Marginal Ray Height (周辺光線の高さ)
Solveの適用で厚みが変わった
これによって「100mm」と適当に入力していた空間距離(空気の厚さ)が、「96.2mm」になりました。
これによって、横収差図は…
少し雰囲気が変わりました
具体的な違いは、スケールが2000ミクロンから1000ミクロンと半分に。さきほど問題にしていた「デフォーカス」がなくなり「球面収差」が支配的になりました。
この解釈は、レイファンプロット(横収差図)が理解できないと、導き出せません。
少し詳しく書くと、
1次関数の傾きがなくなった。 → つまり、デフォーカスがなくなった。
3次曲線が残った → つまり、主に球面収差が残っている(球面収差が支配的)。
(球面収差はNAの3乗に比例なので、横収差図では3次曲線として現れます)
このように解釈しているわけです。ここではこれくらいにして次に進みます。
Merit Function (メリットファンクション)の設定
次に、メリットファンクション(メリット関数、評価関数)を設定します。
これが、自動計算の肝となる部分だと思います。
メリットファンクションの設定は、
Editors => Merit Function から。
Merit Function メリットファンクション設置画面
ここでは、
1)デフォルトメリットファンクション → RMS不ポットサイズを最小にする
2)EFFL: 100mm (EFfective Focal-Length) → 焦点距離を100mmにする
という、内容が設定されています。
ぱっと見、呪文のようで難しく感じるかもしれませんが、1項目ずつ落ち着いて見ればこれくらいなら、そこまで難しくはありません。
メリットファンクションのタイプは大量にあるので、覚えるのは大変そうですが
あとは、最適化計算前に、変数のパラメータを指示しておく必要があります。
変数パラメータには、「Variable」を設定。数値の横に「V」が。
変数を設定して、意図する内容をメリットファンクションで設定すれば、最適化をGoします。
Tool => Optimization もしくは、
「Opt」ボタンから。
上手く意図通り動くかドキドキする瞬間
そして、得られた結果がコチラ。
最適化後のレイファンプロット
スケールが更に半分の500ミクロンになり、最大収差が約180ミクロンまで減少しました。
本日はここまでにしましょう。