2013年11月05日

光源データ(LDT/IESファイル)のインポート

光源データのインポート

少し間が開きましたが、ノンシーケンシャルの光源について(前回記事)の続きで、「EULUMDAT」「IESNA」について学習します。

EULUMDATデータ

「EULUMDAT」でグーグル検索すると、ドイツ語のウィキペディアが表示されました。グーグル先生の翻訳を要約すると、

EULUMDATは、光源の光強度分布の測光データのフォーマットで、主に欧州で使用されてきたファイル形式。
ファイル拡張子:「LDT」

IESNAデータ

こちらはアメリカの規格で「Illumination Engineering Society of North America (IESNA)」のイニシャルです。規格が違うだけで「EULUMDAT」と同じようなものと思われます。(IESNA91, IESNA LM-63-95, or IESNA LM-63-02).
ファイル拡張子:「IES」

CADの定番ソフト「AutoCAD」でも「IESファイル」をサポートしており、ココにその詳細が書かれていました。(AutoCADの解説ページ)

「これらデータはランプメーカーがネット上等で配布している場合が多い」との情報を見かけたので、試しにOSRAM社のHPを確認してみます。

メーカー配布のデータのダウンロード&インポート

例として使用したかっただけなので、どのメーカーでも良かったのですが、確認したOSRAMのサイトがコチラ

この中から適当にピックアップした自動車のヘッドランプ用のLEDと思しき「OSRAM OSTAR HEADLAMP」を例にとりましょう。

20131105135332.png
OSRAM社のHPより

20131105101955.png
ダウンロードしたデータ

ファイルをダウンロードし、ZIPファイルを解凍すると、光源データとCADデータが入っていました。それぞれをZEMAX所定のフォルダにデータを置き、インポートしてみます。

20131105102148.png
いつものマイドキュメント下のフォルダへ

「EULUMDAT」データのインポート

まずは「EULUMDAT」から。

20131105102311.png
「SOURCE EULUMDAT」でインポートファイルを選択

続いて、オブジェクトとしてCADデータもインポートしておきます。

20131105103704.png 20131105103707.png
3Dレイアウト図

OSRAMのカタログ写真に似た形状がインポートされ、”それらしい”光線が確認できます。

「EULUMDAT」ファイルをテキストで開いての中身を確認しながら、どのように記述されているのか確認してきます。

20131105111101.png
「EULUMDAT」ファイルの中身

ウィキペディアにもありますが、このファイルの記述ルールは、コチラに書かれています。

例えば、13行目は「ランプの長さ・直径」(Length/diameter of luminaire (mm))です。このファイルでは、「20.8」となっています。これは外形に相当しているようです。
3Dレイアウト図で座標値を確認しても外形が約21mmとなっていることが確認できました。

発光部は16,17行目によると「2.5mm 2.8mm」の面です。
インポートしたデータを確認してみます。

20131105112448.png
線が多くて分かりにくいですが、真ん中の四角(赤)が「2.5x2.8」に相当

元データには発光面のサイズが記述されていますが、レイアウトの光線からすると面発光ではなく、点発光のように見えます。(これについては、後述します)

また、光源のスペクトルはカタログ上の「ULTRA WHITE」ではなく「波長」で設定しされているもの(F、d、C線)が使用されています。
先ほど確認した「EULUMDAT」ファイルの中身からもわかるように、この光源データには分光特性までは含まれてません。

分光特性は別途与える必要があることにも注意が必要です、

「IESNA」データのインポート

同様の手順でDLした「IES」ファイルを所定のフォルダに入れて、読み込みます。

20131105124502.png
いつものフォルダへ格納

しかし、インポート時に何故かエラーが返ってきました。

20131105124622.png
何時見てもこの画面は、ドキッとします

ファイルの中身をもともとZEMAX付属のサンプルデータと比較してみます。

20131105124722.png
今回DLした「IES」ファイル

20131105124727.png
インストール付属のサンプル「IES」ファイル

数値がカンマで区切られていないくらいでしょうか。これが、原因とも思えないのですがな、ZEMAXのバージョンが古く、OSRAMのIESファイルについていけていないのかもしれません。

気を取り直して、別の所からデータを拾ってきます。次はPHILIPSのHPのIESデータを試してみます。

20131105135558.png
PHILIPSのHPより

20131105130358.png
CADデータは「OSRAM」だけど、配光分布は「PHILIPS」

こちらは無事に読み込むことができました。何かしらのエラーがあったのでしょう。ここに関しては深くは追わないでおきます。

光源データのインポートで気になった点

以上で2種類の配向分布を読み込んでみましたが、気になった点が下記の2点です。

 ・ともに点光源であること
 ・分光特性は含まれていないこと

まずは、「点光源しか無理なのか?」という点について調べていきましょう。

光源のインポートデータは点光源?

ZEMAX USER FORUM で「EULUMDAT」で検索してみました。
すると、全く同じように疑問に思っている人の質問が見つかりました。
http://forum-en.radiantzemax.com/Topic869.aspx?Keywords=eulumdat

これによると、どちらの光源タイプも点光源として扱い、面としては扱えないようです。
どうしても面光源にしたい場合はこの点光源をうまく複数配置するくらいしかない、とのこと。

日本のユーザーフォーラムでも検索してみました。
http://www.prolinx.co.jp/zemaxforum/viewtopic.php?f=52&t=950&p=1643&hilit=eulumdat#p1643

これもかなりためになる記事です。しかし面としてはやはり扱えないようです。

光源の分光特性はどうする?

これら「LDT・IESファイル」は配光特性に分光特性も合わさった「光源情報全て」がインポートできるものかと思っていましたが、これら2ファイルはあくまでも配光特性を記述したもので、分光特性については別途用意する必要があります。

20131105105827.png
光源の分光スペクトルについてはココで設定

スペクトルについてもファイルのインポートもできるようで、「SPCファイル」なるものがインポートできるようです。
これについて検索して調べてみたものの、「LDT・IESファイル」ほどメジャーではなさそうですが、ウィキペディアにも載っていました。

配光特性に加えて分光特性データをインポートすることで、よりリアルなシミュレートが可能になることでしょう。


posted by ひよこデザイナ at 19:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | ノンシーケンシャル:サンプルデータ演習 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2013年11月07日

光源データのスペクトル(SPCファイル)

前回、光源のスペクトルは「SPCファイル」なるものがインポートできますよ、と急ぎ足で締めくくりましたが、もう少し詳しく説明しておきます。

SPC File Format

「SPC spectrum」で検索してみるとウィキペディアでそれっぽいものが見つかりました。

ここには下記のように書かれています。
This file format is not an open type, such as XML or CSV, but is a binary format and is therefore not readable with a standard text editor but...(略)

バイナリなのでテキストでは表示できません、というようなことが書かれています。
ZEMAXのサンプルデータをテキストで開いてみましょう。

20131107091431.png
普通に「メモ帳」で確認した中身

この中を見ると「波長とその割合」が書かれているようです。
マニュアルを確認すると「波長とその重み」が記載されたもの、と書かれていました。

こうなると、ウィキペディアに出てくる「SPC」ファイルとはまた別のもので、このSPCファイルは、ZEMAX固有のファイルフォーマットのような気がします。

ファイルのインポートは、光源のプロパティ画面で「User Defined Spectrum」を選択し、いつものマイドキュメント下に入れておいたファイルを選択すればOKです。

20131107091408.png
光源のプロパティ画面

試しに「メモ帳」で適当な波長(nm)と、その重みを記述したファイルを「SPC」の拡張子で保存し、マイドキュメント下の所定のフォルダに入れて見たところ、すんなりと読み込むことができました。
なんてことはなく簡単なものです。重ね合わされた色が上図の通り表示されるので間違いがないかの確認もできます。

また、使用しているレンズ材料の波長外の記述が合った場合にはエラーが返ってきました。その場合は、光源のスペクトル、硝材、そのインデックスデータのいずれかを調整しましょう。

本日は、簡単ですが、以上です。
照明系も楽しいのですが、そろそろ結像系も恋しくなってきました(笑

約半年が経って

当ブログも開設から約半年が経過しました。
学習した内容が少しずつ増えてきたのは良いのですが、忘れることも多く、復習のために以前の記事を読み返す機会も増えてきました。

これまで「1つの記事には、それなりの情報量を持たせよう!」と気張ってきました。そのせいで、ちょっと調べた内容などはUPせず(記録せず)に終わってしまうことも多々ありました。しかし、記録していない部分は復習ができません。せっかくブログというカジュアルな形式をとっているので、今後は、もう少し気楽にUPしていきたいと思います。

また、少しづつですがサイトに訪れる人も増えてきました。(内容が内容なだけに微々たるもんですが)
興味深いのが、アクセスは平日がメインで土日は激減するということ。これがとても顕著な傾向で、グラフにすると、まるで櫛のようです。会社や学校から、調べ物でアクセスする人が大多数なのだろう、と思っています。

これまでにメッセージを頂いたりもしていますが、反応があまりないのは少し寂しい点です。(会社からアクセスしていれば仕方が無い気もしますけど)
ちょっとしたコミュニケーションから、自分1人では気づかない「新たな何か」を発見することも、実は密かに期待しています。
遠慮せずに気軽にコメントやメッセージをいただけると幸いです。

タグ:SPCファイル
posted by ひよこデザイナ at 22:38 | Comment(3) | TrackBack(0) | ノンシーケンシャル:サンプルデータ演習 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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