もっとマメに更新したいのですが、仕事でバタバタすると、なかなかプライベートの時間が確保できず、このブログの時間が…と、言い訳はさておき、早いものでもう年末。来年も引き続き学習は続けていきますので、更新が途切れても見捨てずに今後ともよろしくお願いします。
さて、今日は前回紹介したPHILIPSのヒゲトリマーに搭載されている半導体レーザーをライン状にコリメートする部分のアプリケーションについて、あの記事の作成後に、学んだ事などを綴っておきます。
レーザー用の様々なディフューザー
その後、いろいろ調べていみると、コリメートされたレーザー光を様々な形状へ拡散させるモノ、通称「diffuser:ディフューザー」なるものが数多く存在することを知りました。
レーザーラインジェネレーター
まずは、前回紹介したモノのようにレーザー光をライン状(1軸方向)のみ拡散させる、通称ラインジェネレーター。
画像は「Laser Create Corp.」のサイトより引用
前回のPHILIPSのヒゲトリマーの開発者のコメントに「緻密なプリズムが使われている」との表現があったので、シリンドリカルレンズというよりは、こういった形状のプリズムが使われているのかな、と今は思っています。
また、このようなプリズムは、この会社だけではなく光学部品を数多く取り扱うエドモンド社にもありました。
Edmund Optics社のページより引用
ここ Edmund Optics のページには多くの光学部品があり、見ているだけでいろいろと勉強になるので、最近のお気に入りです。このラインジェネレーターのページにも以下のように説明が書かれています。
ここを読むだけで、レーザー光のライン形成には「シリンドリカルレンズ」「ロッドレンズ」そして「パウエルガラス」を使用する方法がある、と知ることができます。
たしかに、前回シリンドリカルレンズでライン状にコリメートしようとした結果、下図のような分布が得られました。
中央が明るく線幅が太く…と書かれている通りの分布
それに対し、このラインジェネレーター(パウエルガラス、パウエルレンズ、パウエルプリズム、いろいろな予呼び方がある模様)は、中央への分布が強くないとか。
Edmund Optics より光線図を引用 (上記レーザークリエイト社と全く同じ図ですね)
このプリズムを見ると屋根のような形状に目がいきますが、光線図からすると「先端のR形状の部分のみ」を使っています。きっとこの部分は非球面形状なのであろうと推測できます。要は1軸方向のみの非球面レンズ、といったところでしょうか。
また、ロッドレンズでどうやってラインを作るのだろう、と思いグーグル先生に頼った所、以下のような図を見つけました。
ウシオ電機のページより引用
まさか縦?横?に使うとは…これもまぁ、原理的にはシリンドリカルレンズと同じで1軸方向のみにパワーの持った屈折光学系です。
以上から、屈折系でレーザー光をライン形成する場合は、光学部品の呼び名は違えども、「1軸方向にパワー(球面・非球面問わず)を持つ光学部品で行う」ということになりそうです。
回折系のディフューザー
レーザー光の拡散器(ディフューザー)には回折原理を用いて、ドットを分離させたり、ライン状にしたり…様々な形に拡散させる回折素子「DOE:Diffractive Optical Elements」が存在するようです。
ここの「HOLOEYE」ページでいろいろな拡散パターンをもつ回折格子が紹介?販売?されています。
これら回折素子(DOE)の詳細が知りたくて情報を漁っていると、ガウシアン分布のビームを均一化する「ビームホモジナイザー」、ビームの形をライン状などいろいろな形にする「ビームシェイパー」という言葉を見かけました。この辺のキーワードを元に見つけた文献が下記のもの。
「ホログラフィック・ディスプレイ研究会」の資料
http://www.laser.ee.kansai-u.ac.jp/pdf/Matsushima2003e.pdf
これによると「DOEは入射波面を別の波面に変換するための素子で、数値的に求めた位相振幅空間変調パターンを微細加工技術などで作製されたモノ」と書かれています。この表現からすると幾何光学のように物理的に理解できるものではなく、数学的な理解が必要になるのかな、と感じました。
さらに、これらDOEのパターン成形には反復フーリエ変換法(Iterative Fourier Transformation Algorithm, IFTA)が使用されて…云々と何やら難しいことが書かれています。
この辺を読んでいると、回折に対してなんとなくデジタルなイメージを持つようになりました。これまでそんなこと考えたこともなかったのですが。
ともあれ、すでに頭がパンク気味…なので、今日はここまでにしておきます。