これらを記事としてアウトプットしているのは主にはその最中でしたが、全体の学習がほぼ終了した時点で改めて内容を整理しています。
ファインダー光学系の設計にあたって
まず、WEB上にある一眼レフのカットモデル写真や特許などから、だいたい3〜4枚で構成されているのが確認できました。それを真似てZEMAXに適当な硝材を入力し、最適化を試みることとしました。
(一眼レフ+カットモデルでのGoogle画像検索結果)
コンデンサーレンズはフォーカシングスクリーンで散乱した光を出来るだけ取り込むように配置されているであろうことは理解可能です。しかし、適当に入力するにも、接眼光学系のレンズの枚数やパワー配置をどうやって入力(および設計)していけば良いのか、皆目検討もつかないことに気付きました。
今回ZEMAXの操作をしていて、適当にソフトウェアのパラメータをいじるだけのやり方では、応用がきかない…ということを痛感させられた次第です。
とりあえず今回の結果は記録として残しておきますが、この後は「カメラ用レンズの歴史を元に過去の設計例を学ぶ」というテーマで学習していこうかな、と考えています。
ファインダー光学系の設計練習
話を戻し、ファインダー光学系について学習した内容から、ファインダー倍率、つまり光学系の焦点距離の仕様に目処をつけることができたので、以下の条件で設計に挑みました。
・APS-Cサイズの撮像素子
・ファインダー倍率1倍 (焦点距離、EFFL:50mm)
いじっているうちにコンデンサレンズが凹レンズになったり…
プリズムは単純にガラスブロックとして入力してあります。折り返しは省略し、プリズムサイズ(光路長)もかなり適当ですが、まぁ良しとします。
結局、操作しているうちに収集がつかなくなったので、今後しばらくレンズ基本型を学ぶことにしてこの操作は一旦ここで中断しました。
が、しかし。
ファインダー光学系についての前回2つの記事をまとめているうちに、理解が深まり、
適当に、瞳(STO面)の位置を接眼レンズの接眼側にしたのを、瞳位置はアイポイント(人間の瞳径として、φ6mmに設定)に変更すべきかな、と思い直し、条件を変えて再度トライしました。その結果、ちょっとそれっぽくもなってきました。
少し性能が上がってきました
光軸センターではあえてデフォーカスさせて全体のバランスをとっているような状態になっています。レイファン(左図)の傾きや、像面湾曲(Field Curv)(右図)からもそれらが読み取れます。
スポットダイアグラム
さて、ここで気付いた事は、「どこまで性能を追い込むか?」ということです。(行き当たりばったりな性格なもので…)
交換レンズの場合は、センサーの画素ピッチを元に、MTFの周波数を決めて…そこで評価すれば良いのであろう、と思うのですが、ファインダーのような接眼レンズではどのように評価すればよいのでしょう。
正しい考え方かどうかは不明ですが、自分なりに「人間の目の性能をもと」に以下のように考えてみました。
人間の目の分解能
一般的に良好な視力として「視力1.0」を例にとり、これに相当する性能を目標とします。
視力1.0の人間の目の分解能 → 視角1.0分相当 (0.017°)
(5m離れてランドルト環の1.45mmの隙間を判断できる…というヤツです)
画像は株式会社ニデックのページより引用
(検索して見つけましたが、医療分野やメガネ機器分野など、目に関する事業を行っている会社のようです。モーターメーカーの日本電産NIDECとは関係なさそうです)
カメラレンズの画角(フルサイズ、対角)
標準50mm 46.8°← これを人間の目の画角とします
広角28mm 75.4°
望遠200mm 12.3°
ファインダー倍率1倍の標準レンズ50mmの場合、画角46.8°を切り取っていることになります。その中で人間の目の分解能の視角が0.017°。
つまり対角、約2800個の分解能を持っていると考えられます。
標準50mmレンズが人間の画角に近いというのは、フルサイズセンサー「24mm x 36mm」を想定しているので、
2800個 / 対角長さ43.3mm
→ 65個 / mm
→ 32.5(ラインペア or 本) / mm
つまり、32.5LPMの分解能があれば、視力1.0相当と言えるのかな?ということです。MTFなのでコントラスト比がどれくらいあれば、「分解能がある」と言えるのかは分かりませんが、計算して算出したこの値を目安としようと考えました。
※ただし、この考え方が正しいかどうかの確信は持てません。このあたりに詳しい方がいましたら、何かしらコメントをいただければ幸いです。
さて、この結果より、ターゲットは MTF周波数 32本/mm で…と、思いましたが、ここで思い出したことがあります。カメラの交換レンズのMTFでは、「10本/mm」「30本/mm」で、性能を評価していること、についてです。
(過去のMTFについての記事参照)
この時に学んだのは、主に画質を決めるのは「10本/mm」で、コントラスト値0.8以上で優秀、0.6以上で問題なし、だったはずです。
撮像レンズで結んだスクリーン面の像を人間の目まで伝達する役割であるファインダー光学系の方を、より高解像度な指標で評価するのもおかしいかもしれない...と考えなおし、結局交換レンズと同じように 10本/mm、30本/mm で確認することとしました。
設計したファインダー光学系のMTF(左:横軸X 右:横軸Y)
想定しているAPS-Cセンサー「23.6 x 15.7」の像高MAX相当、つまり半分プラスαの「12 x 8」で、10本/mmが、それぞれ0.8をクリアしていることが確認できました。
高周波数では、像高が高い方が上昇する傾向がありますが、センターでデフォーカスしているためでしょう。
もう少しいろいろと他の評価(周辺光量など)について見ていきたいと思いますが、長くなってきたので一旦ここで切りましょう。後半へ続きます。