ノンシーケンシャルモードへのデータ変換
まずシーケンシャルで作成したレンズデータをノンシーケンシャル用に変換するところから始めます。
といっても、操作は簡単。ZEMAXのツール内のメニューから簡単に変換できます。
ZEMAXサポートのKnowledgeBaseに、変換の方法が載っているので、これを参照しながら進めてみましょう。
リンク先は英語でかかれているので、簡単に手順を要約しておきます。
1)サーフェス#1の手前にダミーサーフェスを挿入する
「Insert」キーで挿入
このダミーサーフェスがなくても、問題なさそうな気もするのですが、試しにダミーサーフェスを挿入せず操作すると、下図のようなエラーが出てきました。
エラーがかえってきてちょっとビックリ
2)ダミーサーフェスをSTO面に指定
STO面へ指定
3)NSCへの変換を選択
ツールの一番下の下の方から
4)変換するサーフェス#を指定
サーフェス#指定と同時に、シーケンシャル+ノンシーケンシャルグループにするか、ファイルをノンシーケンシャルモードへ遷移するかを、チェックボックスより選択します。
サーフェス#の指定とチェックボックスのチェック
今回は、そのままノンシーケンシャルでの光線追跡を行うつもりなので、ノンシーケンシャルモードへ遷移させました。
簡単に変換完了
以上の操作で、選択した範囲のレンズデータがノンシーケンシャル用の記述に書き換えられます。
さらに、ノンシーケンシャルでの光線追跡用に、ディテクターや光源、アパーチャーなどを適宜挿入してデータを完成させます。
光源は、フォーカシングスクリーンへ平行光を照射し、スクリーン面はランバートの完全拡散としました。
ランバート拡散については、過去記事を参照。数ヶ月前に学習した内容ですが、結構忘れているものです…
レイアウト図
完全拡散にしたためでしょうか、100本の光線では瞳まで到達するのは1本あるか、ないか、です。
フォーカシングスクリーン面(拡散面)では、1本の入射に対して10本の拡散光線を飛ばすようにしています。
Scatter Fraction が1で、Number Of Rays が10本
レイアウト図では、1000本相当の散乱光線が飛び交っているので、そのうちの1本だけが到達する、となると、効率が悪いなぁ、という印象を受けます。
でも、落ち着いて考えてみると、散乱光なんてそんなもののような気もします。
ノンシーケンシャルでの光線追跡結果
ノンシーケンシャルでは、フォーカシングスクリーンからの光をトレースしてみましたが、STO面で照度分布を評価できるものなのでしょうか。この辺は良くわからなかったため、STO面近傍に適当な理想レンズを挿入して人間の目をモデリングしました。そして、目で結像した像をディテクターで表示させるようにした、つもりです。
網膜上の像に相当
照度の断面分布
ガタガタしたばらつき具合からすると、光線本数が少ない感はあるものの、シーケンシャルでのコサイン4乗則での周辺光量比の低下と同様に像高の高い箇所での照度の低下が確認できます。ぱっと見の印象はそんなに悪いものでもないですね。
以上、試しにノンシーケンシャルでフォーカシングスクリーン側から光線追跡をやってみましたが、正直これだけだと、あまり意味がなかったかなぁ、と感じました。(もっと上手くやる方法はあるかもしれませんが)
シーケンシャルでの Relative Illumination で確認した様に、STO面を通る光線がフォーカシングスクリーンでどのような分布を持つか、の評価の方で良い気がします。
しいて言えば、対物レンズ系(撮影レンズ)の瞳を通ってきた光線をフォーカシングスクリーンに当てて散乱させて…とすると、もう少し意味がでてくるかな、と思います。今回のように平行光(やその他にも適当な光線の角度を試してみました)では、意味がないかなぁという感触でした。光学シミュレーションってのはやっぱり難しいですねぇ。
以上、「ファインダー光学系」というテーマで、長々と引っ張りましたがそろそろ本テーマは終わりにしましょう。