光、色とは?
光は電磁波の一種で、特に人間の目に見える光、つまり可視光線を指すことが多く、可視光とは380nm-780nmの電磁波を指します。
人間の目にみえないより短波である紫外線や、長波である赤外線も含めて「光」と呼ぶこともありますが、要はこの可視光周辺の電磁波のことです。
さすがに波長が10nm以下のx線や、電子レンジに使われるマイクロ波(波長:122mm)などは、さすがに光とは呼びません。
そして、色は波長で決まります。
ウィキペディアより波長と色(パブリックドメイン画像)
上記したとおり、光とは主には「人間の目」に見えるものを示すものです。そのために光の明るさを表す指標(輝度や照度)というものは、この人間の目を基準にしたものになっています。
これらは人間の目の感度に依存した尺度で表現するために、厳密な物理量ではなく「心理的な物理量」と表現されます。
そして、人間の目は、明るいと感じる度合いが波長によって異なります。(この現象を視感度と呼びます)
引用元のウィキペディアに書かれている通り、光の明るさの指標にはこの「比視感度」(視感度と呼ぶことも多い)がかかっていることになります。
明所視標準比視感度
先の引用元にも書かれていますが、人間は明所と暗所で網膜にある2種類のセンサー(明るい環境で機能する錐体(すいたい)細胞と、暗い環境で機能する桿体(かんたい)細胞)を使い分けており、そのセンサーの比視感度は異なる、とのことです。
(明所ピーク:555nm、暗所ピーク:507nm)
このように、光の単位にはこの比視感度がかかって「心理的」な物理量に変換されている、ということを理解するのは光を学ぶ上での一つのハードルかな、と感じます。
例えば、「光度エネルギー」といっても、物理的なエネルギー量を示すものではありません。
これにも比視感度がかかっているので、あくまでも人間の目に見える強さを基準にしたものになり、実際に網膜に吸収されるエネルギーとは一致しないのです。
光の明るさに関する表現では、常に人間工学の補正がかかっている、というのがミソですね。
分光スペクトル
光にはいろいろな波長成分があって、その波長で色が決まる、ということを学びました。
その光を厳密に表すのには、「分光スペクトル:波長ごとに強度を示すもの」のグラフが用いられます。
分光スペクトル図では、縦軸には強度(物理量)、横軸には波長をとり、各波長での強度分布を示します。
例えば、白色LEDと蛍光灯の例をあげます。
白色LEDと蛍光灯の分光スペクトル図
上図のようにピーク強度を1として各波長の強度分布がプロットされたり、相対値ではなく強度の絶対値で図示されることもあります。
この白色LED(青線)は、ピーク強度が約480nm近傍ですので、この辺にピークを持つ青色LEDに、550nmあたりにピークを持つ黄色蛍光体で、白色にしていることが分かります。
一方、蛍光灯は放電で発生する紫外線を数種類の蛍光体で可視光に変換するものです。この例では青の線スペクトルを持つ蛍光体に緑〜黄〜赤の連続スペクトルを持つ蛍光体が使用されているといった具体です。
この物理量である強度を、明るさの指標(心理的な物理量)にするために、さきほどの比視感度を掛けてやります。
比視感度を掛けて、心理的物理量に
この図は各波長での明るさの分布(強度ではなく心理的物理量)を意味します。発光強度にセンサー感度(人間の目の)を掛けた、という具合ですね。
そして、このグラフを積分して得られる面積が明るさを意味します。この場合では白色LEDの方が面積が広そうなので、LEDの方が明るそう、と分かるわけです。
実際には、計算して比較すべきですがこの分光スペクトルの元データがwebからの拾い物で、LEDのスペクトルデータが不完全(歯抜け)のため計算できませんでした。(グラフでは歯抜け箇所を線でつないで描画しています)
分光スペクトル(図)についてはここまでにして、次回は色のお勉強には欠かせないCIEの等色実験やXYZ等色関数
の話へと続きます。