焦点距離100mm F4 BK7のシングレットレンズの設計
練習内容:ZEMAXの起動、波長及びレンズデータの入力、球面収差図、光路差図、スポットダイアグラム、厚み、変数解の設定、簡単な最適化
まずは基本中の基本、1枚の単レンズ:シングレットレンズからです。いかにも入門編!ってな感じなので助かります。
テーマからイメージすると、小さい頃に太陽の光を集光させて紙を焦がした、虫眼鏡のようなレンズでしょうか。
それではテキストに従い、早速ZEMAXを起動してみます。
波長の設定
テキストによるとZEMAXを起動後、まず波長を設定しています。波長の設定は
System => Wavelengths
もしくは「Wav」ボタン、から。

レンズ設計時に考慮する波長の設定画面
人間が感じることのできる波長域は、380nm〜780nm(ナノメーター)で、光の色はこの波長で決まるわけですが、レンズ設計においては、「スペクトル線の波長」というものを用いるようです。
例えば、「このレンズは、FとCの色収差は一致してるけど…」という具合に、アルファベットで波長を表すそうです。
「青と赤は一致しているけど…」という方が分かりやすい気がしますが、これだと幅のある波長を指し、いくつの波長か厳密に特定できないので、スペクトル線のように「ある特定の波長」を表現する手段が必要になるのでしょう。
実は、私はまずこの「FやC」のスペクトル線で「なにそれ??」となりました。
同様に「?」となった人はコチラをどうぞ。HOYAのHPの技術資料にスペクトル線の表が載っていました。これらのアルファベットがそれぞれ特定の波長を意味している、って訳です。
ここではまず、3種類の波長を設定するよう指示されます。この指示された波長はそれぞれ、以下のスペクトル線に相当します。きっとこれが「最も一般的な3波長」といったところなのでしょう。
F線:0.486nm 青
d線:0.587nm 黄
C線:0.656nm 赤
「Primary」は、「焦点距離、倍率等の近軸領域パラメータの計算に使用される」とのこと。
「Weight」は、「RMSスポットサイズなどの波長加重データの計算のために使用される」とのこと。
ここでは「Weight:1」のまま、とありますので今は掘り下げるのはやめて、そのまま進むことにします。
波長設定は以上で終了。ここでは「スペクトル線」にドキッとさせられましたが、今のところ順調に進めそうです。
アパーチャーの設定
次に、アパーチャーの設定です。アパーチャーとは、レンズの口径のことで、わかりやすくいえばサイズでしょうか。設定は、
System => General
もしくは、「Gen」ボタン、です。

「General」なので「一般設定」って具合でしょうか
画面上は全て英語表記なので、とっつきにくいですが、ここで「Aperture Type」を「Entrance Pupil Diameter」つまり「入射瞳の直径」にします。
ここで設計したいレンズは、「f=100mm で F4」なので、レンズ口径、つまりアパーチャーサイズは…
100mm / 4 = 25mm
となり「25」が算出できます。
この辺りは、光学の基礎知識が必要になってきます。
F値の説明は、Wikipediaに任せましょう。
ここで、何故「入射瞳」なのか?という疑問が湧きました。すでに長くなってきたので、これは後回しにします。
サーフェスデータの入力
Lens Data Editor 通称?LDEに、R100、厚み3のBK7の両凸レンズを入力します。

LDEの設定画面 OBJ:物体面、STO:絞り面、IMA:結像面
まず、テキスト通りに入力していきます。レンズの曲率の符号には注意が必要です。
曲率の中心がレンズの右側にあれば正、左にあれば負。これは、座標系のイメージで、中心位置を考えればイメージしやすいかな、と感じました。
そして、入力したものが意図通りできているか、図にして確認してみます。テキストにはその指示はありませんが、間違っていないか確認する意味でこのタイミングで一旦確認してみましょう。
2次元図を表示するには、
Analysis => Layout => 2D Layout もしくは、
Lay ボタン、です。

2次元のレイアウト図
なんとなくイメージ通りっぽい感じにできています。
適当に入力しただけなので、結像位置がずれていますが、これをこれから最適化していくことになります。
長くなってきたので、一旦ここで区切りましょう。