格安?メガネの作成
つい先日、メガネを新調しました。私の視力は0.1未満の超ド近眼(最強度近眼)なので、レンズにはかなりの屈折力(パワー)が必要です。
「JINS」というメガネ界のユニクロ的存在のお店で、初めてメガネを作ったのですが、屈折率1.74の片側非球面レンズが、なんと「5,980円」ぽっきり!でした。
セール中だったので、もっと安いフレームなら4千円での作成も可能でした。すごい時代?になったものです。
最強度の近眼の場合、メガネの作成は「○○円ぽっきり!」と書いてあっても、高屈折率のレンズが必要なために、追加料金が必要になることが通例でした。それが追加料金なしで高屈折率のレンズが選べるなんて、ちょっと感激ものです。
これも、「プラスチック成形による大量生産」&「メイドインチャイナ」による恩恵なのでしょう。
気になる実際のメガネは、レンズが在庫になかったためまだ手元にはありませんが、評判もそこまで悪くはないようです。
さて、前置きはこれくらいにして、メガネのレンズについて光学的な情報を整理してみましょう。
メガネレンズの度数(屈折力・パワー)
いわゆる目の悪い(遠くが見えない)近視の人は、自身の目の屈折力(パワー)が強すぎるため、網膜の手前に焦点が来ます。そこで下記図のようにメガネ(凹レンズ)で焦点位置をずらして、網膜上に焦点を合わせます。
ウィキペディアより引用(SVGをpngへ変換)
Made by A. Baris Toprak MD. Vectorized by CryptWizard.
ここまでは、学校の理科で習う(幾何光学の)範囲なので、知っている人も多いでしょう。
度数を表すD(ディオプター)
メガネのレンズには屈折力を表す「度数」というものがつきものです。日常会話でも「最近目が悪くなって、メガネの度(数)が合ってないみたい」などと耳にすることもあります。
この度(数)、単位は「D:ディオプター」で表わし、「-3D」とか「-5D」などと表現します。
ディオプター(ディオプトリー)の定義は、「焦点距離(単位:m)で表したものの逆数」となり式で表現すると、
D = 1 (m) / 焦点距離 (m)
つまり「-5D」を例に焦点距離を算出すると、
「-5Dの焦点距離」= 1(m) / -5(D) = -0.2(m)
焦点距離が入射方向(たいていの図では左側)へ20cm (200mm)のレンズを意味します。焦点距離が負ということは、凹レンズです。
「-5D」のレンズ:近視用
「-10D」のレンズ:近視用
「+2D」のレンズ:遠視用
メガネの役割は「裸眼で見える位置に像を結像させる」というように表現することもできます。
例えば、強度の近眼である「-10D」の人の場合、無限遠(遠くの物)を10cm手前に結像させて、それを裸眼で見ている、ということです。ちょうど下図のようなイメージです。
近視用メガネレンズの働き
これからすると、メガネの度数がわかっていれば、裸眼で自分がどれくらいの距離までフォーカスが合わせられるかが計算できます。単純にレンズの焦点距離が裸眼のMAX焦点距離になります。
-1D:約100cm
-3D:約30cm
-5D:約20cm
-10D:約10cm
-15D:約7cm
私は「-10D」近辺なので、約10cmまでしか見えないことになります。実際もたしかにその程度です…裸眼では読書すらかなり顔に近づけないとままなりません。
つまり、「-10D」で矯正した場合…
・遠くのもの(無限遠)が、10cm先
・数メートル先が、9cmくらい
・焦点距離と同じ10cm先が、焦点距離の半分の5cmの位置
を、裸眼でフォーカシングしていることになります。
つまり、私の肉眼では「5cm〜10cm以下」くらいしか調整していないのです。なんて小さな調整範囲なのでしょう!あらためて数値で確認すると悲しくなってしまいます…
気を取り直し、次回は実際にメガネレンズを設計してみましょう。